カーリング(Curling)は、氷上で行うスポーツです。
カーリングという名称は,髪の毛の「カール」にたとえられるように、投げられたストーンがゆっくりカールすることに由来していると言われています。
4人ずつ2チームが目標となる円(ハウス)にめがけて、交互にストーンを投球します。
全てのストーンを投球し終えた段階で、相手より中心に近いストーンの数で得点が決まります。
通常、これを10回(エンド)程度繰り返し、総得点の多いチームが勝利します。
高度な戦略が必要とされることから「氷上のチェス」とも呼ばれています。
また、老若男女問わず一緒に楽しめることも特長です。
競技はセルフジャッジで行われ、基本的には審判は介入しません。
そのため、選手同士の信頼や尊重の心で成り立っています。
ルールブックの最初には「カーリング精神」が記載されており、このスポーツで最も大切にされています。
カーリング精神 (The Spirit of Curling) とは, カーリング競技の基本理念のことです。
すべてのルールやジャッジを支えるものとして、競技者の間で尊重されており、カーリング競技規則の冒頭に前文として掲載されています。
カーリングは、技量と同じくらい、しきたりを重んじるスポーツである。うまくいったショットはひとつの喜びだが、カーリングの伝統あるしきたりが真に生きているゲームを目の当たりにすることは、それに勝るとも劣らないくらい素晴らしいことである。カーラーは勝つためにプレイするのであって、負かすためにプレイするのではない。真のカーラーは、不正をして勝つくらいなら負けることを選ぶだろう。
良きカーラーは対戦相手の気を散らしたりしない。またそういう行為によって、ベストを尽くそうとしている相手を邪魔したりはしない。
いやしくもカーラーたる者は、故意にルールを破ったり、しきたりを辱めたりはしない。しかし、もし偶然そうしてしまい、それに気づいたならば、誰に言われるまでもなく、自ら違反を申し出るものである。
ゲームというものは、プレイヤーそれぞれの技量を明らかにするためにある。しかし同時にゲームの精神について言えば、善きスポーツマンシップ、思いやりある態度、そして誇り高い振る舞いが求められている。この精神は、ルールの解釈や適用のしかたに生かすべきであるのみならず、アイスの上にあるとなきとにかかわりなく、すべての参加者が行いの鑑とすべきものである。 |
15世紀にスコットランドで発祥したとされ、当時は底の平らな川石を氷の上に滑らせていたものとされている。氷上で石を使うカーリングの元となったゲームの記録は、1541年2月にさかのぼる。場所はスコットランド、グラスゴー近郊のレンフルシャーである。ベルギーの画家ピーテル・ブリューゲルの作品『雪中の狩人』(1565年)」の遠景には、すでに氷上でカーリングを楽しむ人々が描かれている。「カーリング」という名称の起源は定かでないが、1630年のスコットランドの印刷物中にこの名称の使用が確認されている。スコットランドでは16世紀から19世紀にかけて戸外でのカーリングが盛んに行われていた。リンクや用具の寸法はヤード・ポンド法で規定されているが、これはスコットランド発祥である名残である。
現在の公式ルールは主にカナダで確立したもので、1807年には王立カーリングクラブが設立されている。1832年にはアメリカ合衆国にカーリングクラブが誕生し、19世紀の終わりまでにはスイスとスウェーデンへと広まった。1998年の長野オリンピック以降冬季オリンピックの正式種目として採用されている。現在ではカナダ、アメリカといった北米やイギリス、スウェーデンなどのヨーロッパ諸国で盛んなほか、日本、中国、韓国などアジア圏でも行われている。